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                        | 数年前のことです。 依頼の電話が鳴り、開口一番「数日前、隣で寝ていた夫が消えたんです」と言われた。
 話を聞いてみると、ご主人は財布だけ持って失踪したらしい。
 所在が確認できたのは、失踪から1ヶ月後のことである。
 発見の決め手となったのは、財布と一緒に持って出た失踪当日の新聞である。
 そこに小さく掲載されていた「住み込みオーケー・電気回線工事」の求人広告。
 失踪したご主人は、そこで働いていた。
 失踪前の悲劇は、労組の役員に推された時から始まったらしい。
 ご主人は、頼まれると断れない性格とのこと。
 渋々引き受けたが、折からの不況で労使交渉は常に険悪ムード。
 ある日突然、「会社の金を使い込んでいるだろう」ご主人は重役から横領疑惑を突きつけられる。
 まったく身に覚えのないことだが、偽装された証拠書類が用意されていた。
 その重役に「労組を抜けろ」と脅された。
 さもなければ、「横領で懲戒解雇する」。
 労使の仲間からは「途中で投げ出すような無責任な行動はやめろ」と突き上げを食らった。
 失踪直前には、矢面に立たされたご主人。
 板挟みの夫は社内で孤立し、次第にノイローゼ状態に・・・・。
 依頼者と一緒に、ご主人が住み込みで働いている会社に出向く。
 全てのストレスから解放されたご主人は、そこで新しい仲間と談笑していた。
 その後、妻に説得されて自宅に戻って来た。
 今は生き生きと、失踪時に勤務していた会社に自宅から出勤しているそうだ。
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